最近世間を騒がせているTOKIOの山口さんは事件を起こす直前まで、アルコール摂取によって体を壊し、1ヶ月ほどの入院をしていたとの情報がある。そして、TOKIOのメンバーからは「依存症なのではないかと思っていた」という趣旨の発言もされている。
この問題から、日本のアルコール依存症問題について思うところがあったので、精神科医療に携わっている自身の意見を2点述べようと思う。
1点目 アルコール依存症を誰が発見しなければならないのか
“アルコール依存症”という診断は出ていなかったそうだが、それは精神科や心療内科などの専門機関にかかっていなかったからではないか、と僕は推測する。
内科やその他の診療科でも、熱心な医師であればアルコール摂取を背景とした肝臓の問題で入院となれば、精神科への紹介や繋ぎをすると思う。主治医がそこまで問題視していなかった、或いは山口さんの立場を考えて言えなかった。それか伝えたけれでも、山口さんから他の関係者に伝えられていなかった可能性もある。
誰が山口さんのアルコール問題を発見して、それを彼に責任を持って伝えなければならなかったのか(或いは治療に繋げなくてはならなかったのか)という点が気になるのである。
山口さんがアルコール依存症のような状態になっていて、衝動性のコントロールが効かず今回の騒動に発展したのだとしたら、早く適切な医療に繋げていれば、こういったことは減らせるので非常に残念な点だと思う。
2点目 日本のアルコール依存症理解について
テレビのワイドショーを見ていて、「私なんてどんなに前の日にお酒を飲んでいたって、仕事にちゃんと来てなんとかやっていましたよ」といった旨の発言があった。
この意見に対して「そうだそうだ」「俺だってどんなに前の日にお酒を飲んだってちゃんと仕事しているぞ」と思っている中高年の方々は沢山いらっしゃると思う。
そして多分、それが日本におけるアルコールに対する見方の過半数なのではないか。
そんな方々に少し問題提起をしたい。
これが「俺だってどんなに前の日にマリファナとか大麻をやったって、ちゃんと仕事しているぞ」と言われたらどうだろうか?
「は? そんなこと威張れるの?」と感じるのではなかろうか。
アルコールがマリファナや麻薬と同じ様に精神作用物質だという視点が日本には全く無いように思う。
この点に僕は非常に問題意識を感じている。
アルコールのもたらす害が非常に軽く見られている(そもそも知られていない)ことが少し怖い。
少しでもアルコールで苦しむ人や家族が減りますように。
また情報発信していきます。