精神科への入院の仕方

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前回は精神科入院医療で何をするか3点(薬の量の調整と休養と環境調整)お伝えしました。

今回は入院の種類についてお話ししたいと思います。

精神科には入院形態が沢山ある

 

精神科には普通の入院と違い、入院の仕方にいくつかの種類があります。

 

まず大きく分けると2種類です。

①患者自身の意思で入院する

②患者の意思とは関係なく入院する

という分け方が出来ます。

 

①患者自身の意思で入院する

これは任意入院といって、他の科と同じように先生と相談の上で患者が「入院させてください」と自分の意思で入院する入院形態です。

イメージはつきますよね。

 

精神的な不調を自身でわかっている時や、休養したい時に使われる入院です。

それでは、これ以外の入院形態はどのようなものでしょうか。

 

②患者の意思とは関係なく入院する

患者の意思とは関係ないとはどういうことでしょうか?

それは法律による強制的な入院という事です。

まず代表的なものは医療保護入院と言います。

精神保健指定医と呼ばれる、精神科での診療歴が3年以上で、かつ必要な審査を経て資格を得た医師が診察により「この人は緊急的に入院した方がいい」と判断し、さらに患者さんご本人は同意能力が無い場合(例えばうつ症状が酷く死にたいと訴えていたり、統合失調症の症状が強く幻覚妄想に左右されている等)に、直系3親等以内の家族や後見人または保佐人、市町村長(家族や後見人が居ない場合)の同意によって、ご本人の同意なく入院をすることになります。

 

強制的な入院ですから入院する患者さんの人権を守るため、退院を早くできるように様々な仕組みがありますが、この点については別の記事で扱いたいと思います。

 

重要なのは医療保護入院はご本人の同意によらず、家族等の同意で入院するものということです。

 

もう一つ法律による強制的な入院としては措置入院があります。

これは入院させなければ自傷や他害の恐れがある人を入院させる制度です。

こちらは家族等の同意は必要ありません。その代わり、精神保健指定医2名が診察し入院が必要と認める場合のみに、都道府県知事の措置で入院させることができます。

医療保護入院より件数は少ないですが、さらに法的拘束力が強いもの(家族の同意なく第三者のみの判断で入院させられるため)と言えるでしょう。

他にも入院形態はあります(緊急措置入院、応急入院)が、以上の2つが強制的な入院で代表的なものになります。

 

日本の現状

入院するご本人の意思によらず入院となることから、人権を守るために退院までの期間をより短く、また退院後の生活をより安心して送れるように治療や生活環境調整を行なっていくことを目指しているのが、全世界的な流れです。

それでも、日本は他国と比べて入院期間が長いです。平均すると300日以上になるのではないでしょうか。

日本で1番退院促進の進んでいる病院でも60〜70日の平均入院期間です。

僕が出会った方の中で1番入院歴が長いのは50年以上という方もいらっしゃいました。

信じられますか? これが現実です。

あなたはいきなり2ヶ月〜1年強制的に入院させられたらどう思いますか?

「ふざけるな、学校(仕事)はどうすればいいんだ!」と怒りたくなりませんか?

これが入院させられてしまった方の想いの1つです。

でも、入院して症状が良くなり元気に暮らせるようになる方が殆どでもあります。

人権を守ることと、必要な医療を提供すること、そのバランスをどのようにとっていくのか、日々、精神科医療福祉関係者は議論し悩んでいるのです。

 

以上が代表的な精神科入院形態についてでした。

読んでいただきありがとうございました。